歯周病治療
「歯周病」は、静かに進行する病気です
「ブラッシングのときに歯ぐきから血が出る」
「最近、なんとなく口臭が気になり始めた」
「疲れると歯ぐきが浮いたような感じがしたり、鈍い痛みがしたりする」
このようなお口のサインを、「年を重ねたせいだから」「そのうち収まるだろう」と見過ごしてはいませんか。
実は、これらはすべて「歯周病」の代表的な初期症状です。
歯周病は、日本の成人が歯を失う原因の第1位であり、成人の多くが罹患していると言われるほど、非常に身近な病気です。
歯周病の最も恐ろしいところは、むし歯のように強い痛みを伴うことなく、静かに、そして気付かないうちに進行していく点にあります。自覚症状が乏しいため放置されやすく、異変に気付いて来院されたときには、すでに歯を支える周囲の骨(歯槽骨)が大きく溶かされ、歯がグラグラになってしまっているケースも少なくありません。
しかし、歯周病は、正しい診査のもとで原因菌を減少させ、適切にコントロールしていけば、進行を穏やかに抑え、健康な状態へと近づけることができる病気です。
岡崎市のヒロデンタルオフィスでは、健康保険で受けられる細菌の顕微鏡検査や、身体に優しいレーザー治療、特殊な殺菌水を用いた洗浄、そして失われた骨の回復を促す「歯周組織再生療法」まで、患者さまの進行度に応じた総合的な歯周病治療を行っています。
科学的な視点で行う、当院の診査・診断と治療設備
当院では、経験則だけに頼るのではなく、様々な検査や設備を用いてお口の状態を科学的に分析し、一人ひとりに適した的確なアプローチを行います。
位相差顕微鏡(いそうさけんびきょう)【健康保険で対応】
一般的な歯科医院では自費診療となることもある「位相差顕微鏡を用いた細菌検査」ですが、当院では患者さまの負担を考慮し、健康保険の範囲内で対応しております。
患者さまのお口から少量のプラーク(歯垢)を採取し、顕微鏡のモニターで生きたままの細菌を大きく拡大して観察します。現在、お口の中にどのような種類の歯周病菌(らせん状の菌や運動性のある菌など)が、どれくらいの量活動しているのかを、ご自身の目でリアルタイムに確認していただけます。
菌の状態が可視化されるため、現状への理解が深まり、治療へのモチベーションにも繋がります。
唾液検査(サリバリーテスト)【ご希望に応じて実施】
ご希望のある患者さまには、唾液を採取して分析する「唾液検査」を行っています。
唾液成分を調べることで、「歯周病菌の活動度」「むし歯菌の量」「お口の酸性度」「唾液の持つ中和力(緩衝能)」のほか、目に見えない潜血(出血の有無)や白血球の数などが客観的な数値として算出されます。ご自身の「もともとの体質やリスクの傾向」を知ることで、よりオーダーメイド性の高い予防計画を立てることが可能になります。
歯科用レーザー治療器(CO2・ヤグ・半導体レーザー)
当院では、性質の異なる3つのレーザー(CO2レーザー、エルビウムヤグレーザー、半導体レーザー)を導入し、症例や進行度に応じて使い分けています。
歯周ポケットの奥深くにレーザー光を照射することで、手用の器具だけでは届きにくい微細な隙間の歯周病菌を穏やかに殺菌します。同時に、痛みを和らげる消炎効果や、傷口の治癒を促す効果、止血効果が期待できるため、麻酔の使用量を減らし、身体への負担が少ない優しい処置を可能にします。
機能水「EO水(電解酸性機能水)」の活用
当院の歯周病治療およびメインテナンスにおいて、大きな役割を果たしているのが「EO水(酸化電解水)」です。
病原菌を殺菌するEO水とは、水に少量の食塩を加え、特殊な装置で電気分解することによって作られる「酸性電解水」です。
多くの病原菌やウイルスに触れると、それらを殺菌する強い力を持ちます。
その一方で、お口の中の皮膚(粘膜)や唾液、血液などの有機物に触れると、瞬時にその効力を失って「普通の水」へと戻る性質があります。そのため、薬品のような残留性がなく、人体や環境には無害で安全に使用できるという優れたメリットを持っています。
当院では、この安全なEO水を治療中の器具の洗浄や、お口の中のうがい・洗浄にふんだんに使用し、クリーンな環境づくりを徹底しています。
当院で行っている歯周病治療のステップ(基本治療から外科治療まで)
歯周病治療は、段階を追って丁寧に進めていく必要があります。原因を確実に取り除くための基本的な治療から、重症化してしまった場合の高度な外科的アプローチまでをご用意しています。
ファーストステップ:お口の環境を整える基本治療
ブラッシング指導(TBI)
歯周病治療の主役は、他ならぬ患者さまご自身です。歯科医院でいくら歯石を取っても、日々の生活でお掃除不足が続いていれば、すぐに細菌は増殖してしまいます。
国家資格を持つ歯科衛生士が、位相差顕微鏡のデータや歯周ポケットの測定結果をもとに、患者さまの歯並びや歯ぐきの状態に合わせた正しい歯ブラシの動かし方、デンタルフロスや歯間ブラシの適切な選び方をアドバイスいたします。
スケーリング&ルートプレーニング
お口の衛生状態が向上してきた段階で、本格的なお掃除を始めます。
スケーリング
歯ぐきの上の目に見える部分にこびりついた、石のように硬い「歯石」を専用の器具(超音波スケーラーなど)で取り除きます。
ルートプレーニング
歯ぐきのラインよりも下、つまり歯周ポケットの奥深くに隠れている不健全な歯石や、細菌の毒素が染み込んだ根の表面(セメント質)を、手用の細かな器具で丁寧に滑らかに(ルートプレーニング)整えます。
根の表面がツルツルになることで、再び細菌が付着しにくくなり、歯ぐきが引き締まる環境が整います。
セカンドステップ:重度歯周病に対する歯周外科治療
基本治療(丁寧なお掃除とブラッシング)を数ヶ月続けても、歯周ポケットが著しく深く(5mm〜6mm以上など)、どうしても奥深くの細菌や歯石を取りきれない難症例に対しては、以下の外科的なアプローチを検討します。
歯周外科治療(フラップ手術)
局所麻酔を行ったうえで、深いポケットがある部分の歯ぐきを一時的に少し開き(切開・剥離)、目視で根の表面を直接確認できる状態を作ります。
暗くて狭いポケットの奥に頑固にこびりついていた黒い歯石(歯肉縁下歯石)や、炎症を起こしている組織を、直接目で確かめながら確実に清掃・除去し、再び歯ぐきを精密に縫合する手術です。
サードステップ:骨の回復を促す「歯周組織再生療法」
これまでは、歯周病の進行によって一度溶けて失われてしまった歯を支える骨(歯槽骨)は、二度と元には戻らないと考えられていました。
しかし現代の歯科医療では、適切な環境を整えることで、失われた組織の「再生」を促すための優れた材料や術式が開発されています(※症例の条件によって適応が異なります)。
エムドゲイン治療(※自由診療)
エムドゲインは、子どもの歯が萌出するとき(生えてくるとき)に重要な役割を果たすタンパク質(エナメルマトリックスデリバティブ)を主成分とした、世界中で多くの実績を持つ組織再生材料です。
フラップ手術の際、根の表面をきれいに清掃した後にこのエムドゲインゲルを塗布します。
すると、歯が生えてくるときと同じような環境が再現され、歯周組織(骨や歯根膜)の自然な再生をサポートします。
リグロス治療(※条件を満たせば健康保険適用)
リグロスは、細胞を増やす働きを持つ「成長因子(遺伝子組換えヒト線維芽細胞増殖因子)」を主成分とした新しい再生医薬品です。
火傷の治療など皮膚の再生医療でも使われている技術を歯科に応用したものです。
骨が溶けてしまった欠損部にリグロスを塗布することで、周囲の毛細血管を呼び込み、骨を作る細胞(骨芽細胞)や歯周組織の細胞を増殖させ、組織の再生を促します。
こちらは国が定めた特定の施設基準や適合条件を満たすことで、健康保険が適用される治療法です。
人工骨移植(骨補填材の活用)
歯周病による骨の破壊の形が複雑であったり、欠損が大きかったりする場合、再生材料を塗布しただけでは、周囲の歯ぐきの圧力によって空間が潰れてしまい、骨が再生してくるためのスペースが確保できないことがあります。
そのような場合には、安全性の高い人工骨(骨補填材)を欠損部に敷き詰めることで、立体的な「足場」を確保し、ご自身の骨がじっくりと育ってくるための環境を維持します。
治療の成果を維持する「定期メンテナンス」と当院のこだわり
歯周病治療において、外科手術や再生療法を終えることは、ゴールではなく「新しいスタート」です。歯周病は一度改善したとしても、お口のケアを怠ればいつでも再発するリスクを持つ病気だからです。
当院では、治療後の良好な状態を長く保つため、細やかな定期検診(メインテナンス)システムを構築しています。
ドクターによる毎回必ずのチェック(ドクターチェック)
当院では、定期検診やクリーニングのためだけにご来院いただいた日であっても、「歯科衛生士がお掃除をして終わり」にすることはいたしません。
お掃除の最後には、必ず歯科医師(ドクター)がお口の中を直接確認します。
歯周病の再発の兆候(歯ぐきのわずかな腫れや出血)がないか、噛み合わせのバランスに変化が生じて特定の歯に無理な負担(咬合性外傷)がかかっていないかを厳格に診査し、病気の芽を早期に見つけ出すダブルチェック体制をとっています。
歯周病治療を成功させるために、最も大切なこと
どれほど高度なフラップ手術を行い、高価なエムドゲインなどの再生材料を使用したとしても、それだけで歯周病が解決するわけではありません。
歯周病治療を本当に成功させるために最も重要なこと、それは「歯科医院での専門的なケア(プロフェッショナルケア)」と「患者さまご自身の毎日の正しい歯磨き(セルフケア)」が、車の両輪としてしっかりと噛み合うことです。
1年のうち、患者さまが歯科医院でケアを受ける時間は、定期検診を含めても数時間程度に過ぎません。残りの360日以上の時間を支えるのは、患者さまご自身の手によるブラッシングです。
私たちは、ただ淡々とお口の掃除をするだけの存在ではありません。患者さまが「これなら毎日続けられる」「フロスを通すと気持ちが良い」と感じていただけるよう、お一人おひとりの生活背景(お仕事の忙しさやライフスタイル)に徹底的に寄り添い、二人三脚で歩んでいくパートナーでありたいと考えています。
